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地方巡業組合規定 (注)明治四二年(一九〇九) 二月、前記『東京大角力協会申合規約』の追加改正と同時に、前年の『大角力組合新規約』に変更追加をしたもの。
一、巡業中各地を旅行するに際し汽船汽車に便乗の時横綱大関は壱等に幕之内力士は弐等と定む。
一、新たに加入したる力士行司に対しては大角力興行の成績良好にして序ノロに昇進せざる間は給金割配当をなさざる事。
一、地方巡業の際の茶代は旧来の計算法を廃し、人数に応じ宿屋へ茶代を与ふることに改む。
一、汽車汽船の便乗の時幕之内以上の力士は同乗の紳士及婦人に対し不敬を為すべからざるは勿論力士たるの面目を維持し筒袖を着する等の野卑なる風宋を為さず可成関取たるの資格を失せざる様着服等に注意すべし。各地にて場所入の時も着服は本項中の規定に依るべし。 但し本規定に違背するものは幕之内力士と雖も弐等に便乗せしめざる事。
一、朱房以上の行司は前項規定に準ず。
大角力協会申合規約追加 一、幕之内力士は大角力興行十日間全勤する事に決定す。
一、大角力興行十日間の取組は従来の編成法を改め大角力初日より十日目迄の間に適当の法を以て編成し横綱大関と雖も日限に不拘相手を上下することあるべし。
一、横綱大関の退隠する場合には協会より金壱千円を下らざる養老金を贈る事。
一、関脇小結の退隠する場合には協会役員並に最高位置の関取と協議の上金額を定め養老金を贈る事。 以上養老金の支出は大角力協会と地方巡業組合とに於て分担する事。
一、年寄力士行司を問はず場所入の際は角帯を使用すべし。 但し縮緬のへこ帯はこの限りに非ず。
一、協会員(年寄力士行司)は礼節を厳守し苟しくも長者(自分より上位置の人) に対し 不敬あるべからず。
一、横綱大関の称号は従来最高級力士と称せしも爾来最高位置の力士と改称す。
一、幕之内力士の成績は一と場所毎に調査し成績の優劣に依り東西の位置を変更する事。万一数場所同成績なる時は最高位置の力士と計り二三力士と交換することあるべし。
一、年寄の呼称は従来誰れ親方と呼びたるを爾来誰れ年寄と称することに改むる事。
一、斯道奨励法として大角力興行の際幕之内力士(東西) の成績を調査し勝星により星数多き方へ優勝旗と賞金とを与ふる事。
一、前角力本中角力及同格の行司の為め養成所を設置す。
一、行司上下を論ぜず勝負を見違いたるもの又は平素不品行のものは役員協議の上席順を降下す。
大角力組合新規約 (明治四一年(1908年)五月に制定。力士の品位向上を意図したもの。)
条 一 条 組合員上下を論ぜず地方巡業中病気又は其他の事故にて巡業一期間の半数以上を欠勤したるものは給金割配当を為さざるべし。病気にて巡業途中より欠勤したるもの一ケ月以内に全快して組合に加入したるときは給金割高は減額せず。但し真正の病気にて酌量すべき情状ある者には組合より相当の見舞金を贈与す。
条 二 条 略
条 三 条 新たに組合員に加入せんとする力士及行司志願者は其身元を充分に取調べ確実なる紹介者なきものは猥りに組合へ加入せしめざる事。
条 四 条 略
条 五 条 組合員上下の別なく自分出生地の外は勧進元となることを得ず。
条 六 条 地方巡業中興行希望者ありて長日間興行の契約を為さんとする者あるとも一人に対し二ケ所以上の約定を為すべからず。
条 七 条 何れの部屋の力士行司たりとも不品行のもの又は土俵上見苦しき勝負を為すものは組合員協議の上同業を謝絶すべし。 条 八 条 略
条 九 条 年寄は興行場にて執務中酒を飲むべからず。
条 十 条 金銭の貸借は組合指定の用紙を使用すべし。帳元が其用紙を用ひざるものに金員を貸すときは一個人の貸借たるべく組合に関係なきものとす。
条 十一 条 組合員一同巡業中汽車汽船に便乗の時は静粛にすべし。駅員の承諾せし時の外は汽車の線路を横切るべからず。 条 十二 条 略
条 十三 条 興行地へ乗込の際は組合員一同打揃ふて乗込むべし。関取格以上の力士は羽織を着用すべし。鳥打帽子を冠り筒袖を着する等の不体裁は各自謹しまるべき事。
条 十四 条 略
条 十五 条 組合員は往来の途中にて同業者に行き逢ひたる時又は場所入の際は先輩に対し必ず敬礼を行ふべし。敬礼を受けたる者も亦答礼を怠るべからず。
条 十六 条 大角力の規約に遵拠し賭博を為したる者は見当り次 条 組合を除名す。
条 十七 条 組合員にして欠落を為したる者は其時より給金割配当をなさざる事。
条 十八 条 力士行司上下を論ぜず組合を離れ他の地方にて営業を為したるもの再び組合へ加入せんとする時は大角力協会規約に依り其位置を降下すべし。
東京大角力協会申合規約
条 一 条 当協会は東京大角力協会と称し東京市本所区元町十七番地に其事務所を設置す。
条 二 条 東京大角力は古来の習慣に随ひ一組合となし之を分離せざるものとす。
条 三 条 当協会は東京大角力取締上に関する諸般の事を処理し且つ風儀の改良技芸の上達を図る為設くるものとす。
条 四 条 当協会は左の役員を置く。 一、取締 二名 一、検査役 八名 一、部長 一名 一、副部長 一名
条 五 条 取締及検査役の選挙は年寄並に幕の内より幕下拾枚目迄の角力取及足袋以上の行司の投票を以て選挙し其任期は満一ケ年とし毎年一月大角力興行初日迄に改選す。但し改選の時も前任者を再選する事を得。
条 六 条 取締検査役は改選の都度其住所氏名は警視庁に届出べし。
条 七 条 角力協会百般の事務は取締二名検査役八名の協議を以て綜理するものとす。
条 八 条 取締は一名宛毎日交代を以て中入の前後土俵に上り勝負検査の任を相勤むるものとす。但し中人後は公平に隔日に勤むべし。
条 九 条 検査役は二期大角力興行の節角力の勝負を実験して之を記録し又引分預り等の処置を為し且つ本規約に随ひ諸般の事務を取扱ふものとす。
条 十 条 二期大角力取組割は取締立合の上検査役三名以上の協議を以て割出を為すものとす。
条 十一 条 部長及副部長は取締より指名し其任期は一ケ年とす。
条 十二 条 行司の席順は平素の品行と土俵上の技術により取締二名検査役八名の協議を以 て上下するものとす。
条 十三 条 部長は取締の指揮を受け諸般の事務を取扱ふものとす。
条 十四 条 副部長は部長を補佐し其差支ありたる時は代理す。
条 十五 条 行司に関する諸般の事務は取締二名検査役八名の協議を以て綜理するものとす。
条 十六 条 当協会は左の印章を調製し協会又は其取締の証とす。
条 十七 条 毎年一月、五月の二期を以て東京大角力を興行し大試験を行ひ各員の階級を定むるものとす。
条 十八 条 二期大角力の年寄役割は取締検査役協議の上之を定め各其指定されたる役掛り諸務に従事し定例外の事は取締の指図を受くるものとす。
条 十九 条 二期大角力興行中土俵上の勝負に関し一方より異議を申出たる時は検査役三名にて公平の裁定を為し取締の承諾を得て決定するものとす。
条 二十 条 二期大角力興行年寄の給金一等金十円二等金八円三等金七円とす。但し二期大角力興行毎に支給すべし。歩持外の者は取締検査役協議の上応分の包金を贈与するものとす。
条 二十一 条 取締には大場所毎に金十五円検査役には金拾円を支給するものとす。
条 二十二 条 幕下十枚目以上に進級せし者は給金の多少を論ぜず関取格となすべし。又十枚目以上に進級するも不動又は病気にて其以上に下りたる者は其格式を用ひざるを例とす。但し十枚目以上に進級するとも給金は元給金たるべし。
条 二十三 条 角力の給金増額は勝越星を以て左の通り定むべし。 一番勝越金二十五銭増 二番勝越金五十銭増 三番勝越金一円増 四番勝越金一円五十銭増 五番勝越金二円増 六番勝越金二円五十銭増 七番勝越金三円増 八番勝越金三円五十銭増 九番勝越金四円増
条 二十四 条 取締及検査役の目鏡を以て勝星を三等に別ち一等と見做したる者にて前条の他尚給金を増加する事あるべし。
条 二十五 条 番附調製の時も亦取締検査役の目鏡を以て勝星を三等に分ち協議の上多数の意見に依りて其位置を上下するものとす。
条 二十六 条 関取の給金は金六十五円迄を限とす。 条 二十七 条 幕の内角力取にして九日間全勤したる者は勝負に拘らず一場所毎に金五十銭を増給し十枚目迄の全勤者は同金二十五銭を増給し其番附も取締検査役の目鏡を以て適宜取計ふ事あるべし。
条 二十八 条 大関にして二期大角力興行の際病気と称し不動する時は席順を其儘に存し次場所より席順を一枚宛降下するものとす。
条 二十九 条 角力取にして二期大角力興行中病気と称し不動する時は関脇以下幕の内角力は一枚乃至五枚幕下十枚目迄は一枚乃至七枚十枚目以下は一枚乃至十二枚席順を降下し且つ興行中病気の為中途より欠勤するものは仮令勝星あるとも席順を降下す。但し真正の病気なれば取締検査役の目鏡を以て特に酌量すと雖ども欠勤二夕場所を起る時は取締検査役協議の上規約以外に席順を降下す。
条 三十 条 角力取上下を論ぜず大角力興行中取組を為したる場合勝負を決せず引分となる時は双方一番ヅヽの負星を定むるものとす。但し取締検査役の目鏡により正当の所為と認めたる時は此限に非ず。
条 三十一 条 二期大角力興行の際幕の内及幕下二十枚目迄の角力取にして土俵入を欠く時は幕の内は給金一円其他は給金五十銭を減額するものとす。
条 三十二 条 幕の内幕下出世角力に対し二番位の勝星あるも時宜に依り段下げする事あるべし。
条 三十三 条 角力取上下を論ぜず一卜場所欠勤したる者又は其師匠を離れ他の組にて営業をなしたるもの帰参したる時は其給金二割を減ずるものとす。三ケ年以上を経過したるものは其給金を半額とし番附順は 条二十九 条不動者の例に倣ふ。尤も役員協議の上其位置を定むる事あるべし。但し実際病気にて療養の為病院又は其師匠の家に居りたる事を取締検査役に於て確かに認めたる時は此限に非ず。
条 三十四 条 角力取にして大場所興行中病気と申立不動したる者入場して桟敷廻を為し又は客の招に応じ酒店へ立入者は勝越すとも給金増額の儀は勝星の半額の事。
条 三十五 条 行司の給金は金十五円迄を限とす。但し行司の給金増額及等級を定むるは取締及検査役協議の上之を定むるものとす。
条 三十六 条 行司にして勝星を見違ひたるもの又は平素不勉強なるものは取締検査役協議の上席順降下するものとす。
条 三十七 条 角力取及行司にして徴兵に応じ入営したる者満期後再勤を乞ふ時は上席より旧席順数を以て差加ふるものとす。
条 三十八 条 京阪の行司本協会へ加入を申込時は取締検査役の協議を以て京阪の資格により番附へ附出す事を得。
条 三十九 条 諸国に出稼の場合と雖ども足袋格の行司は土俵に於て上草履を使用する事を許さず。若し之に違背したる時は席順拾枚相降すものとす。但し大関同業の節其組合行司長疾病又は事故ありて欠勤したる時は此限に非ず。
条 四十 条 諸国出稼の節小角力組行司長に当ると雖ども足袋以下の行司は土俵に於て足袋を使用する事を得ず。若し之に違背したる後は席順を拾枚降下するものとす。
条 四十一 条 行司の内心得違有て逃亡したる者其後改心して再勤を乞ふ時は其給金二割を減じ且つ逃亡の日限一場所を超過する毎に席順五枚宛を降下し三ケ年以上を経過したる者は給金を半額とす。
条 四十二 条 角力取及行司は上下を論ぜず銘全師匠の指揮に随ふべし。役員に於て不注意の所為ある時は自ら協会へ申出を為さず各師匠より取締へ申出るものとす。
条 四十三 条 角力取番附外より勤むる者出世日は四日目七日目十日目と定め勝星を取調べ東西に拘らず取締及検査役の目鏡を以て出世せしむべし。四日目に出世したる者は直に上の口にて角力取組ませるものとす。
条 四十四 条 京阪並に東京附出の者は勝負検査の上給金並に番附の位置を定むるものとす。
条 四十五 条 京阪は勿論新たに角力修業に来るもの年寄内にて師弟の確証取置く者は誰れ方へ便るとも其証ある方へ引取べし。口約等の者は仮令証人之あるとも本人の志願に任せ決して故障なすべからず。
条 四十六 条 師弟の間給金の配当を定むる左の如し。幕の内幕下関取並に行司にして家族を持ち別居したる者は給金高の八分を渡すべし。幕の内幕下三段目角力取及行司にして師匠の部屋に住居するもの幕の内は六分幕下以下は五分を渡すべし。幕下三段目角力取及行司にして特に師匠の許を得て家族を挙げ別居したる者は七分を渡すべし。参円以下給金取は給金の配当を為さず別に師匠より旅行小遣を渡すべし。但し二期大角力興行の給金は悉皆師匠の所得とすべしと雖ども師弟の間特約を結び苦情なきものは此限に非ず。
条 四十七 条 年寄の名義を永遠に継続する為自今年寄八十名及左に掲ぐる旧年寄八名の名義を継ぐもの外本会へ加入する事を許さず。 高島五郎治 錦島三太夫 佐ノ山幸吉 田子ノ浦嘉蔵 常盤山音右エ門 山響団蔵 関ノ戸億右エ門 待乳山楯之丞
条 四十八 条 大場所及出稼を問はず角力勤続中は年寄となる事を許さず。但し木村庄之助式守伊之助の名義を相続するものは此限に非ず。
条 四十九 条 角力年寄の名義は幕下以上の力士にして取締検査役及部長の承諾を得るに非ざれば之を相続せしめ若くは譲与する事を得ず且つ回向院大角力を連続せしものに非ざれば年寄となる事を許さず。但し弟子にして師匠の名義を相続するものは此限に非ず。
条 五十 条 条四十七条に掲たる旧年寄の名義は取締役及部長に於て協議の上相続人を選み継続せしむる事あるべし。
条 五十一 条 現年寄の名義廃絶して相続するものなき場合も亦前 条に同じ。
条 五十二 条 取締は本会年寄の総代となって年寄の名義を相続したる者又は譲り受たる者より本規約へ加盟したる証を取置くべし。
条 五十三 条 二期大角力興行の願人は歩持加入の年限順席により之を定むべし。又其興行益金ある時は其一割を願人両名へ渡すべく損金ある時は願人両名共歩持加入者の割合を以て出金すべし。
条 五十四 条 歩持に加入せんとする者は加入金百五十円を協会に差出すべし。但し年寄名義を相続するものに非ざれば加入する事を許さず且つ一人に付一株を限とす。
条 五十五 条 歩持加入者死去する時は香稟として金五十円遺族扶助料として金五十円を贈るべし。又中途にして歩持を罷めんとする者には金百円を還附す。但し歩持株券は売買を禁止するものとす。
条 五十六 条 横綱並に三役の者九日間全勤したる者には大角力興行済の後損益決算の上益金ある時は歩持年寄同様益金を配当すべし。
条 五十七 条 角力取上下を論ぜず土俵上の怪我の為休業したる者へは取締検査役協議の上慰問として金員を贈与すべし。
条 五十八 条 角力取及行司を問はず組員門弟の者私意恣にして他の年寄へ便る者あるとも其年寄に於て師弟の約をなす事を得ず若し之を違背したる時は本組合を除名す。
条 五十九 条 組員に於て賭博をなしたるものは見当次第除名し如何なる情実によりて罪を謝するとも真誠なる改悟を認めざる上は再び組員に入る事を許さず。
条 六十 条 幕下拾枚目迄は雑用金を支給す。
条 六十一 条 二期大角力興行は勿論其外興行中諸般の慣例にて規約外の事は総て従前の通り執行するものとす。
条 六十二 条 協会の会議を開くべき通報を受たる時は其時限に必ず出席すべし。但し不参者は決議に対し故障をなすの権なきものとす。
条 六十三 条 現年寄及年寄の名義を相続したる者又は譲り受たる者にして若し本規約に違背したる時取締検査役及部長に於て情状重きものと認めたる時は其年寄の資格を剥奪し退会せしむる事あるべし。
条 六十四 条 本会規約は警視庁に届出認可を受くべし。其改正変更を要するときも亦同じ。
条 六十五 条 規約の改正変更は本会員過半数以上の申出に依り取締検査役選挙有権者の過半数以上の同意に非ざれば之為すを得ず。
条 六十六 条 本会の内部に紛ぬんを生じたる時又は臨時の出来事に対しては本会員に於て一切を処弁し局外者の容啄を許さヾるものとす。
条 六十七 条 弟子にして師匠の命に背き破門せられたる者に対し組合員仲裁の労を採り聞き入れざる時は預り弟子又は譲り受くる等の処為は一切相成らざるものとす。